対話と理解を深めるディベート力〜複雑社会のWell-being構築

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今回はディベートをテーマに情報提供していきます。

ディベートの基本を学び、周囲と共にディベートの方法論を活用した場づくりができると、建設的で成長思考の組織やチームを作ることができます。

声の大きい人の意見だけが通ったり、意見がすぐに対立して敵対関係が生まれるのを避けることができます。

今回の内容を押さえていただくことで、ディベートを効果的に活用することは「調和」した関係や「建設的」な議論、「Well-being」な場づくりをするのに有効だということに気づけるはずです!

そこでまずは「ディベート」に関する認識についてみていくことから始めてみましょう!

対話と真逆?ディベートのイメージって?

まず「ディベート」と聞くと、あなたはどのようなイメージを想起しますか?

私の周りの多くの人に聞いてみると「ディベートは、論理で相手をねじ伏せるための技術」というイメージを持っていたんですね。

ディベートは詭弁?いやいや!全く違います。

しかし、それはディベートの本質とはかけ離れているというのが私のこれまでの学びと実践の中で感じることなんですね。

私の経験上、ディベートは以下の点で、誤解されがちです。

ディベートの目的は、勝ち負けだけではありません。 もちろん、競技ディベートとして「勝敗」を争うケースもあります。ただ、ディベートの本質は、多角的な視点を得て、論理的に思考し、より深い理解に到達することだと私は考えています。

相手を攻撃するものではない。 ディベートは人格否定や攻撃をすることはありません。対話の中で互いに尊重し合い、議論を通じて問題の本質に迫ることができるんですね。

ディベートは協調的なプロセス。 健全なディベートは、異なる意見を受け入れつつ、より良い解決策を模索することにつながります。

このようにみていくと「え、そうなの?」と思われた方が多いのではないでしょうか?

客観的なデータに基づき論理を駆使して結論を導く

実際、「客観的なデータに基づく主張」をすることで、一つのテーマに対してより良い意見を出し合う際には、ディベートの手法は非常に効果的です。

逆に、「ねじ曲げられた情報」「隠された真実」がある中で「一方的な主張を通すためだけに」「相手を黙らしてこちらの主張の正当性を表現する」のはディベートとはかけ離れています。

ではこのあたりを具体的にみていきましょう!

対話を促すディベート活用の本質:深い理解と建設的な議論

私にとってディベートは、異なる立場や意見を持つ者同士が、建設的な対話を通じて問題解決や新たな理解に向かうための有効な手段です。

ディベートの手法を使うと、相手の意見を一方的に否定するのではなく、テーマに対してより最適な意見を見つけ出すことが可能になります。

互いに尊重し合いながら、意見の違いを掘り下げ、共に成長するプロセスとして捉えることもできます。

ディベートの手法や考え方を地域活動や場づくりで応用

実際、私が地域に関わる仕事をしていたり、場づくりなどの現場でディベートの考え方や手法を取り入れることもあります。

その主な目的は、相互理解と問題解決を深めるためです。

そのため、異なる立場や意見を持つ者同士が議論を通じて、お互いの視点を尊重し、問題の複雑さや多様性に気づくことができる工夫をしています。

例えば、地域課題の解決やまちづくり・場づくりなどの現場で、最初から唯一絶対の正解があるなんてことはありません。

だからこそ、そこに集まった人が客観的なデータをもとに、一つのテーマに対して異なる見解を出し合い、話をしていくプロセスを踏みます。

これらは(競技などで行われるディベートとは異なるプロセスかもしれませんが、)使い方によって非常に有効だというのが私の見解です。

ディベートを通じて、参加者自身が新しい知識を得たり、より効果的な解決策を見つけ出すきっかけが作れるんですね。

ディベートの基本構造

ディベートを応用して、まちづくりや地域活動で話し合いをする際は、以下のような進め方をすることが多いです。

  1. テーマ決定:話し合うテーマを決定し共有します。
  2. 立論: 各参加者が自分の立場を論じる。
  3. 反論: 相手の立論に対して、異なる視点や疑問を投げかける。
  4. 再反論: 互いに意見を深め、反論のポイントに対して再び意見を述べる。
  5. 結論: 両者が最終的な考えをまとめ、対話を通じて得られた理解を共有する。

このようなプロセスを踏むのですが、「人格攻撃」「感情に囚われて流されること」はNGです。

相手の主張を聞き、しっかり受け止め、その上で反論をすることもあるのですが、それは「主張」に対する反論です。

「何を馬鹿なことを!」というような相手を否定するのはディベートとはかけ離れている行為だといことは押さえておいてください。

ディベートを学ぶとその場に豊かさが生まれる?

ディベートのスキルを身に付けることで、地域活動や場づくりにおいてさまざまなメリットがあるというのが私の実感です。

特に、多角的な視点を得る力をそれぞれが得ることができるので、その場・組織・チーム自体の大きな強みとなります。

Empathy(共感力)の向上: 相手の意見を真剣に聞くことによって、他者の立場や感情を理解する力が自然と養われます。ディベートを通じて、単に反論するのではなく、相手の背景や価値観に対しても配慮する姿勢が身につきます。

建設的なコミュニケーション能力: ディベートは、対立をただ激化させるのではなく、建設的な対話を行う技術です。論理的かつ冷静な会話を通じて、相手の意見を引き出し、対話を深める力が養われます。

情報分析と批判的思考の訓練: 多様な情報を正確に分析し、自分の考えを構築していく力が鍛えられます。これにより、複雑な問題に対しても冷静に対処できるようになります。

ただ、このような場を作るためには、参加者同士で「どのような話し合いの進め方をするか」ということを理解・把握し合意して抱く必要があります。

先ほどお伝えしたような「自分の主張を通して相手を黙らせたい人」がいたり、思うようにいかないと怒鳴ったり人格攻撃する人がいた場合は、建設的で成長思考のディベート活用はできません。

現代日本社会におけるディベート力と対話の重要性

現代の日本社会では、複雑化する問題や多様化する意見に対応するために、建設的な対話が求められているというのが私の意見です。

ディベートは、その中での合意形成や相互理解を深めるための強力な手段です。

複雑な社会問題への対応: 少子高齢化や気候変動など、さまざまな意見が絡み合う問題が増えています。ディベートを通じて、異なる視点を理解し、より包括的な解決策を見出す力が必要です。

グローバル社会における相互理解と協調: 多様な文化や価値観が交差する現代では、異なる意見や価値観を受け入れながら、協力して問題解決に取り組むことが重要です。

さらに、これからますます人の考え方や価値観の多様化・複雑化は進んでいくと予想されます。

そのような中で、個々人が「自分の都合を最優先」にしていて、「周囲との話し合い」ができない状況が続くと、結果的に全体として不利益を被ってしまう状態が生まれることも容易に想像できます。

そこで、「対話」や「議論」をすることが大事なのですが、「感情論」で話が進むだけであったり「権力」に従うしかなかったりすると、そのまちづくりや地域活動は非常につまらないものになりませんか?

だからこそ、「ディベート」の手法を学び、実践をしながら「話し合いができる関係」を構築していくことが大事だとういのが今回私がお伝えしたいメッセージなんです。

対話型ディベートってどうやって学べばいい?

では実際にディベートについて学ぶためには、どのようなポイントが重要になるのでしょうか?

ここではいくつかものポイントをあげておきますね!

論理的な思考と表現の技術習得:ディベートをするには最低限の論理力を備えている必要があります。「私は〇〇だと思います」という主張をするなら、それが「なぜなのか」というようなことを説明しないと、相手には理解してもらえません。このように「主張」「論拠」「根拠」などを示し、論理的な思考と表現でコミュニケーションを図るスキルが求められます。

Empathy(共感力)の訓練: 相手の立場を理解し、批判的ではなく建設的に対話を進めるための訓練が必要です。相手の意見を尊重し、共感しながら意見を交わすことで、対話がスムーズに進みます。

建設的なフィードバックと振り返り: ディベート後には、参加者全員でお互いの意見を振り返り、フィードバックを行うことが重要です。これにより、議論の質が向上し、次回に向けた改善点も見つけやすくなります。

多様なトピックでの協調的な議論の実践: 環境問題や教育、福祉など、さまざまなテーマでディベートを実践することで、多角的な視点を養い、より柔軟な考え方が身につきます。

実際このような技術習得の機会や、訓練・実践のきっかけづくりを地域やオンライン学びの場で行っています。

頭で理解しただけでは実践できるようになりませんので、必ず何らかの行動に落とし込むようにしていただくことをオススメします。

ディベートスキルの実践的応用:対話と理解の促進

ディベートで身に付けたスキルは、日常生活でも大いに役立ちます。

日常生活での建設的な対話: 家族や友人、職場でのコミュニケーションにおいて、相手の意見を尊重しながら自分の考えを伝えることで、関係性が深まります。

職場での協調的問題解決: チーム内での議論や意思決定プロセスにおいて、ディベートのスキルは円滑なコミュニケーションと効果的な解決策の発見に役立ちます。

実際私はソーシャルワーク実践や福祉現場での活動において、相手の気持ちを理解・把握しようとした時や、ニーズを紐解き計画に落とし込む際などにディベートのスキルが非常に役立ちました。

また、子育てをしている中で息子との関係を豊かなものにしたり、家族で話し合いをするときなどに、「自分の主張」だけでなく「相手の主張」にしっかり耳を傾ける力を養えたのは非常に有益だったと考えています。

このように、ディベートは人生のあらゆる側面に「深い理解」と「建設的なアイデアの創出」を生み出し、関係性を豊かなものにできるんですね!

Well-beingな社会構築とディベート

これからの時代は、想像を絶するほど膨大な情報が行き交うようになると私はみています。

その中で、「何が事実なのか」ということがわからなくなったり、「自分にとって大事なことは何か?」ということを見失ってしまうこともあるかもしれません。

その中で異なる意見が飛び交い、もはや話し合いについていけない。

こういった状況を防ぎ、子どもたちの夢ある未来を大人として守り続けるためにも、ディベートは重要になるというのが私の見解です。

ディベートは、Well-beingな社会の実現に向けた重要な技術なんです。

異なる意見を受け止め合い、相手のことを尊重し、対話を通じて共通のゴールに向かって進むことは、社会全体の幸福につながるんですね。

【まとめ】対話と理解を深めるツールとしてのディベートスキル

ここまでみてきたように、ディベートは単なる議論技術ではなく、対話を通じて相互理解を深めるためのツールと捉えることができます。

個人の成長と社会全体の調和を実現するためには、ディベートスキルの習得が非常に有益だというのが私の考えです。

ディベートを通じて、多角的な視点と共感力を養い、日本社会における建設的な対話文化の発展を目指していきませんか?

投稿者プロフィール

Mocchy

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