ウェルビーイングの基本解説|福祉・教育現場の事例&最新研究も
こんにちは。
ソーシャルワーカー・コーチの森山です。
今回は
「ウェルビーイング」について一緒に考えながら、「自分らしく働くこと」「理想のキャリアを歩むこと」「健康状態も家庭も、経済的にも安定した状態を維持すること」
について見ていきたいと思います。
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今回の記事に関して、特に読んでいただきたいのは「福祉職」「教育職」の方々です。
私は福祉現場で働きながら副業としてオンライン教育事業を立ち上げ、今はさまざまな事業を同時並行的に動かしながら、「場づくり」を行なっています。
これまでの経験の中で感じることとして、福祉や教育など「人と接する仕事」の現場には、心優しい人がたくさんいます。
ただ、
- 困っている人を放っておけない。
- 子どもや利用者の声を丁寧に聴きたい。
- 少しでも安心できる関わりを届けたい。
そんな思いを持って働いている人ほど、自分自身の疲れや苦しさを後回しにしてしまうことがあります。
- 「自分より大変な人がいる」
- 「支援する側なのだから、弱音を吐いてはいけない」
- 「もう少し頑張れば、きっと何とかなる」
そうやって踏ん張り続けているうちに、いつの間にか心の余白がなくなっていく。人のために始めた仕事なのに、人と関わることそのものがしんどくなってしまう。
だからこそ今、福祉・教育・医療・地域活動など、人を支える現場で「ウェルビーイング」という視点が大切になっているように感じています。
ウェルビーイングとは何か?

ウェルビーイングは、日本語では「幸福」「よい状態」「よりよく生きること」などと訳されます。
ウェルビーイングは一時的な楽しさや快楽とは別の概念
ただし、ここでいう幸福は、一時的な楽しさや快適さだけを意味するものではありません。
WHOはメンタルヘルスを、人生のストレスに対処し、自分の能力を発揮し、学び、働き、地域に貢献できる心の状態として説明しています。つまりウェルビーイングは、「自分の内側の安定」だけでなく、「学ぶこと」「働くこと」「人や社会と関わること」にも深く関係しています。
ウェルビーイングを3つの視点で考える
ウェルビーイングは、大きく3つの視点から考えるとわかりやすくなります。
主観的ウェルビーイング
1つ目は、主観的ウェルビーイングです。
これは、自分の人生をどう感じているかに関わります。人生満足度、安心感、喜び、穏やかさなどが含まれます。
心理的ウェルビーイング
2つ目は、心理的ウェルビーイングです。
これは、自分らしく生きているか、成長や意味を感じられているかに関わります。自己理解、自己受容、人生の目的、成長実感などが含まれます。
社会的ウェルビーイング
3つ目は、社会的ウェルビーイングです。
これは、人や社会とのつながりの中で、自分の存在が支えられているかに関わります。孤立していないこと、信頼できる関係があること、役割や貢献を感じられることなどが含まれます。
ウェルビーイングは私らしく生きるための土台
つまりウェルビーイングとは、ただ気分よく過ごすことではありません。
自分自身との関係。
身近な人との関係。
仕事や役割との関係。
社会や地域との関係。
それら全体の中で、「私は私として生きていてよい」と感じられる土台のことだと言えます。
福祉・教育現場でウェルビーイングが大切な理由

福祉や教育の仕事は、人の人生に深く関わる仕事です。
子どもの成長、利用者の暮らし、家族の不安、地域の孤立。
ときには、貧困、虐待、障害、病気、喪失、孤独といった現実にも向き合います。
ウェルビーイングが揺らぐ|やりがいと負担の狭間で
そこには大きなやりがいがあります。けれども同時に、感情的な負担も大きくなります。
- 相手の苦しさを受け止める。
- すぐには解決できない問題に向き合う。
- 制度や組織の限界にぶつかる。
- 「もっとできたのではないか」と自分を責める。
このような状態が続くと、バーンアウトや共感疲労につながることがあります。
ウェルビーイングの最新研究と『燃え尽き』
近年の研究でも、教師のウェルビーイングには、バーンアウトやワーク・エンゲージメントが強く関係することが示されています。
※ワークエンゲージメントとは、仕事に対して「活力(生き生きとエネルギーが湧く)」「熱意(やりがいや誇りを感じる)」「没頭(夢中で取り組んでいる)」の3要素が満たされた、ポジティブで充実した心理状態のこととされています。
また、ソーシャルワーカーの共感疲労に関する研究でも、支援者がトラウマやストレスに触れ続けることが、支援の質や支援者自身のウェルビーイングに影響することが整理されています。
福祉職や教育職が疲弊するのはなぜ?
ここで大切なのは、支援者が疲れるのは「優しさが足りないから」ではないということです。
むしろ、優しさがあるからこそ苦しくなることがあります。
- 本当はもっと丁寧に関わりたい。
- 本当はもっと支えたい。
- 本当はもっと安心できる場をつくりたい。
けれども、時間、人員、制度、組織文化の限界がある。その中で、理想と現実の間に挟まれて疲弊していくのです。
だからこそ、ウェルビーイングは個人のセルフケアだけでなく、職場や地域、組織のあり方ともつながって考える必要があります。
現場で見えるウェルビーイング低下のサイン

ウェルビーイングが下がっているとき、私たちは必ずしもすぐに気づけるわけではありません。
特に、福祉や教育の現場で働く人は、相手の変化には敏感でも、自分の変化には鈍感になりがちです。
ウェルビーイングを損なわないためのセルフチェック|サインに気づく
たとえば、こんな状態はないでしょうか。
- 以前より人の話を聴くのがしんどい。
- 小さなことでイライラする。
- 休日も仕事のことが頭から離れない。
- 感謝されても素直に喜べない。
- 「どうせ変わらない」と感じることが増えた。
- 自分の人生について考える余白がない。
- 何のためにこの仕事をしているのか、わからなくなる。
これらは、弱さではありません。
心と身体が出している大切なサインです。
ウェルビーイング≠無理して前を向くこと
ウェルビーイングを考えるということは、無理やり前向きになることではありません。自分の状態を、責めずに見つめることです。
「私は今、疲れているのかもしれない」
「本当は、少し休みたいのかもしれない」
「誰かに話を聴いてほしいのかもしれない」
そんなふうに、自分の内側の声に気づくことが、ウェルビーイングの第一歩になります。
福祉・教育現場の事例|自分を守ることが大事

たとえば、ある福祉職として現場で働いていて、
- 困っている人がいれば、できるだけ対応する。
- 急な相談にも応じる。
- 他の職員が忙しそうなら、自分が引き受ける。
こんな人はいませんか?
もしかすると、周囲から見れば、とても頼りになる人なのかもしれません。
少しずつ低下しているウェルビーイングを自覚できているか?
けれども本人の中では、少しずつ苦しさが積み重なっていました。
- 本当は疲れている。
- 本当は断りたい時もある。
- 本当は自分の生活も大切にしたい。
このようなとき、必要なのは「もっと頑張ること」ではありません。
むしろ、自分の中にある境界線に気づくことです。
- どこまでが自分の役割なのか。
- どこからはチームで考えるべきことなのか。
- 何を一人で抱えすぎているのか。
福祉現場の職員にこそウェルビーイングが欠かせない
自分を守ることは、支援を放棄することではありません。長く支え続けるために、自分自身も支える。その視点が、福祉現場のウェルビーイングには欠かせません。
教育現場でも同じです。
先生は、子どもや保護者の相談を受ける立場になりやすいです。けれども、先生自身が安心して悩みを話せる場は、十分にあるでしょうか。
- 「先生なんだから、しっかりしないといけない」
- 「弱音を吐いてはいけない」
- 「みんな忙しそうで相談しにくい」
そうして、一人で抱え込んでしまうことがあります。
セルフケアは大事だけど本人にだけ背負わせるのはNG
この場合も、本人に「セルフケアしましょう」と伝えるだけでは不十分です。
- 先生同士が安心して話せる場はあるか。
- 管理職が、感情労働の負担を理解しているか。
- 弱音や迷いを共有しても責められない文化があるか。
教育現場のウェルビーイングは、個人の心の問題であると同時に、学校という場の問題でもあります。
支援者自身のウェルビーイングを高める4つの実践

では、福祉・教育・対人援助の現場で働く人は、どのように自分のウェルビーイングを育てていけばよいのでしょうか。
ここでは、明日から意識できる4つの実践を紹介します。
1. 自分の状態に気づく
まず大切なのは、自分の状態に気づくことです。
- 今、疲れているのか。
- 焦っているのか。
- 怒っているのか。
- 悲しいのか。
- 安心したいのか。
感情を言葉にすることは、自分を整える第一歩です。
「私は今、どう感じているのだろう」
その問いを持つだけでも、自分との関係は少しずつ変わっていきます。
2. 小さな余白をつくる
ウェルビーイングは、大きな変化だけで生まれるものではありません。
- 朝の5分。
- 帰り道の深呼吸。
- 好きな本を少し読む時間。
- スマホを置いて、お茶を飲む時間。
- 誰かと安心して話す時間。
小さな余白が、自分を取り戻す入口になります。
余白は、怠ける時間ではありません。
自分の感覚を取り戻す時間です。
3. ひとりで抱え込まない
福祉や教育の現場では、「相談される側」になることが多いです。
けれども、相談される人にも、相談できる場が必要です。
- 信頼できる同僚。
- 安心して話せるコミュニティ。
- 専門職同士の学びの場。
- 自分の違和感を言葉にできる対話の場。
ウェルビーイングは、孤立の中では育ちにくいものです。
一人で抱え込まないことは、弱さではありません。
人と関わる仕事を続けるための、大切な力です。
4. 自分の価値観に立ち返る
最後に大切なのは、自分の価値観に立ち返ることです。
- 私は、何を大切にして働きたいのか。
- どんな関わり方をしている時、自分らしいと感じるのか。
- 何を守りたくて、この仕事をしているのか。
- どんな人と、どんな場をつくっていきたいのか。
こうした問いは、心理的ウェルビーイングに深く関わります。
自分の価値観に立ち返ることは、仕事を辞めるか続けるかをすぐに決めることではありません。自分の人生のハンドルを、少しずつ自分の手に取り戻すことです。
まとめ:ウェルビーイングは、やさしさを続けるための土台

ウェルビーイングは、特別な人のためのものではありません。
余裕がある人だけが考えればよいものでもありません。
むしろ、人を支え、子どもや利用者の人生に関わり、地域や社会の中で誰かの安心をつくろうとしている人にこそ必要な土台です。
自分を犠牲にして支えるのではなく、自分も大切にしながら他者と関わる。
そのあり方を学び、育てていくことが、これからの福祉・教育・対人援助の現場にはますます求められていくのだと思います。
やさしさをこれからも大切にするためのウェルビーイング
やさしさは、とても大切な力です。
けれども、やさしさだけで頑張り続けると、いつか自分がすり減ってしまうことがあります。
だからこそ、自分の状態に気づくこと。
小さな余白をつくること。
ひとりで抱え込まないこと。
自分の価値観に立ち返ること。
その一つひとつが、支援者自身のウェルビーイングを育てていきます。
組織で働くか副業か、独立開業か、起業か…
Well-being Lab.では、対人援助職や教育職、心優しい気持ちを持ちながら自分らしく幸せに生き、働きたい人に向けて、ウェルビーイングに関する知識・実践・事例を発信していきます。
人を支えるあなた自身の人生も、同じように大切にされていい。
そのことを忘れずに、これからの働き方と生き方を一緒に考えていけたらと思います。
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