ストレスとは何か?原因・反応・対処法を3つに整理|社会福祉士がシンプル解説

- 「これくらいで疲れたと言ってはいけない」
- 「忙しいのはみんな同じだから、まだ頑張れる」
そう考えているうちに、眠れない、集中できない、些細なことに腹が立つ。
そんなことってありませんか?
私はソーシャルワーカー・コーチとしての実践や、後進の育成、地域での場づくりなどを通じて「人の心」と向き合ってきました。(https://well-being-lab.com/)
ストレスは、本人がはっきり自覚する前に、心や体、行動の変化として現れることがあります。
一方で、「ストレスはすべて悪いものだから、なくさなければならない」と考えるのも正確ではない。
そう聞くと、どう感じられますか?
ストレスは、私たちが課題や脅威に対応するために起こす自然な反応です。短期的には集中力や行動力を高めることがあります。(強すぎる状態や長く続く状態には注意が必要です。)
この記事では、そんな「ストレス」について、「原因」「反応」「対処」に分けて解説します。
自分のストレスを整理する方法も紹介するので、「何となく調子が悪い」と感じている人は、現在の状態を知る手がかりにしてください。
ストレスとは困難に対応するための自然な反応

WHOはストレスを、困難な状況によって生じる心配や精神的緊張の状態と説明しています。
ストレスは、特別に弱い人だけが感じるものではありません。仕事の締め切り、試験、病気、人間関係、引っ越しなど、変化や対応を必要とする状況では、誰にでも生じます。
心拍数を上げたり緊張したり
例えば、重要な発表の前に心拍数が上がり、緊張することがあります。これは、目の前の課題へ注意を向け、行動する準備を整える反応でもあります。
そのため、ストレスがあること自体を、すぐに異常と判断する必要はありません。
ストレスについてチェックしてみよう!
大切なのは、次の点を確認することです。
- どの程度の強さなのか
- どのくらい続いているのか
- 休息によって回復できているか
- 生活や仕事に支障が出ていないか
ストレス反応が強く、休んでも回復せず、日常生活に影響している場合には、単なる一時的な緊張として扱わないことが重要です。
「ストレッサー」と「ストレス反応」を分けて考える

日常会話では、仕事、人間関係、疲労感などをまとめて「ストレス」と呼びます。
しかし、自分の状態を理解するには、少なくとも「ストレッサー」と「ストレス反応」を分けて考える必要があります。
ストレッサーとは
ストレッサーとは、心や体に反応を生じさせる刺激や出来事です。
一般に「ストレスの原因」と呼ばれているものに当たります。
厚生労働省の情報では、ストレッサーは次のように分類されています。
- 物理的なストレッサー:暑さ、寒さ、騒音、混雑など
- 化学的なストレッサー:有害物質や酸素の不足など
- 生理的なストレッサー:病気、空腹、睡眠不足など
- 心理・社会的なストレッサー:仕事、人間関係、家庭、将来への不安など
私たちが普段「ストレスが多い」と話すときは、仕事量や人間関係など、心理・社会的ストレッサーを指していることが多いでしょう。
ストレス反応とは
ストレス反応とは、ストレッサーに対応しようとして、心や体、行動に起こる変化です。
例えば、「翌日までに難しい資料を完成させなければならない」という状況がストレッサーです。
それに対して起こる焦り、肩の緊張、寝つきの悪さ、作業ミスなどがストレス反応です。
両者を分けると、対処すべき対象が見えやすくなります。
仕事量そのものを調整する必要があるのか、体の緊張を緩める必要があるのか、考え方や仕事の進め方を見直す必要があるのかによって、取るべき行動は異なります。
同じ出来事でもストレス反応が異なるのはなぜ?

同じ仕事や同じ環境でも、強いストレスを感じる人と、比較的落ち着いて対応できる人がいます。
また、同じ人でも、ある時期には対処できた出来事が、別の時期には大きな負担になることがあります。
なぜ、このような違いが生じるのでしょうか?
ストレス反応は出来事の大きさだけ決定されない
これは、ストレス反応が出来事の大きさだけでは決まらないためです。
例えば、
- 自分で状況を調整できる感覚があるか
- 何が起こるか予測できるか
- 必要な時間や情報があるか
- 周囲から支援を受けられるか
- 睡眠や体調が保たれているか
- 複数の負担が同時に重なっていないか
このような条件が影響することがわかっています。
環境や支援の有無でストレス反応は異なる
同じ業務量でも、期限や優先順位が明確で、相談相手がいる場合と、指示が曖昧で一人で責任を負う場合とでは、感じる負担が異なる可能性があります。
したがって、ストレスを感じている人に「考えすぎ」「気にしすぎ」と伝えても、根本的な解決にはなりません。本人の受け止め方だけでなく、環境や支援の有無も確認する必要があります。
ストレス反応は「心理・身体・行動」に現れる

ストレスというと、気分の落ち込みやイライラを想像しやすいかもしれません。
しかし、反応は心理面だけでなく、身体面や行動面にも現れます。
厚生労働省の「こころの耳」というサイトがあります。
このサイトでは、ストレス反応を次の三つに分けて説明しています。
心理面に現れる反応
- イライラする
- 不安や焦りを感じる
- 気分が落ち込む
- やる気や活気が低下する
- 興味や関心が薄れる
- 集中しにくい
- 判断や決断が難しくなる
「悲しい」「つらい」と感じるだけが、心理的なストレス反応ではありません。
怒りっぽくなる、何も決められなくなるといった変化として現れることもあります。
身体面に現れる反応
- 頭痛
- 肩や首のこり
- 動悸や息苦しさ
- 胃痛や胃の不快感
- 便秘や下痢
- 食欲の低下または増加
- 寝つきが悪い
- 夜中や早朝に目が覚める
- 疲れやだるさが取れない
体に現れる症状を、自己判断で「ストレスのせい」と決めつけるのは避ける必要があります。
身体疾患が隠れている可能性もあるため、症状が強い場合や長引く場合は医療機関に相談してください。
行動面に現れる反応
- 飲酒量や喫煙量が増える
- 食べすぎる、または食べなくなる
- 人との連絡を避ける
- 遅刻や欠勤が増える
- 仕事上のミスが増える
- 落ち着かず、じっとしていられない
- ニュースやSNSを見続ける
- 趣味や日常の活動をやめてしまう
行動の変化は、本人がストレスを自覚していない段階でも周囲から見えやすいサインです。
一つの変化だけで判断するのではなく、「いつもの自分と比べてどうか」「複数の変化が続いていないか」を見ることが大切です。
短期的なストレスと慢性的なストレス

短期間のストレス反応は、状況が終わり、十分に休むことで落ち着くことがあります。
一方、ストレッサーがなくならない、複数の問題が重なる、十分に回復できないといった状態が続くと、慢性的なストレスになる可能性があります。
過度なストレスは健康問題につながり得る
WHOは、過度なストレスが心身の健康問題につながり得ると説明しています。
また、長期的なストレスは、すでにある健康上の問題を悪化させる可能性も指摘されています。
ストレス状態から回復できる状況を整えることが大事
注意したいのは、「大きな出来事があったか」だけではありません。
一つひとつは小さく見えても、通勤の混雑、睡眠不足、家事の負担、人間関係の緊張などが毎日積み重なれば、回復する時間が不足します。
ストレスの影響は、一度の出来事の大きさだけでなく、継続時間や重なり方によっても変わりますからね。
ストレスに気づくための3つのメモ術

自分のストレスを整理するには、「原因」「反応」「対処」を3つに分けて整理することが非常に有効です。
一度に考えてごちゃごちゃにしないことがポイントです。
ノートに線を引いて3分割してみる。
もしくは、スマートフォンのメモなどでも構いませんので、次の3つに分けて書き出してみます。
1.起きたこと
評価や解釈を加えず、できるだけ具体的に書きます。
例:「午前中に、期限が明日の追加業務を依頼された」
2.起きた反応
心理、身体、行動に分けて記録します。
例:「焦った」「肩に力が入った」「昼食を急いで食べた」「同僚への返事が強い言い方になった」
3.助けになったことや必要なこと
実際に少しでも役立った行動や、次に必要な支援を書きます。
例:「作業を一覧にしたら落ち着いた」「優先順位を依頼者に確認する必要がある」
この方法の目的は、ストレスを完全になくすことではありません。漠然とした不調を具体的な情報に変え、どこに働きかければよいかを見つけることです。
原因と反応を分けて記録する習慣づくりがオススメ!

ちなみにここで私がストレスに対してどのように対処しているかという話を少しだけ紹介しますね。
まず、先ほどの「原因」「反応」「対処」は混同しないように気をつけています。
また、ストレス反応が身体や行動に出ていることを把握したら、いち早く休みます。
これまで何度も我慢を重ねて最終的に体調を崩してきたこともあり、「ストレス対策」を徹底することの重要性を実感してきました。
だから、勇気を持って、そして堂々と「休みます」と言って休む。
これが、長期的に成長を遂げて成果を出し続ける秘訣だと私は考えています。
まとめ:ストレスは「あるかないか」ではなく、状態を具体的に見る
ストレスは、困難や変化に対応するために起こる自然な反応だということを、この記事では共有してきました。
そして、すべてのストレスをなくす必要はないということも確認しましたね。
一方で、強い反応が長く続き、休んでも回復しない場合には注意が必要です。
ストレスを理解するときは、次の三つを分けて考えます。
- 何が負担になっているか
- 心、体、行動にどのような反応が起きているか
- 原因の調整と反応の軽減のために何ができるか
「自分はストレスに弱い」と評価する前に、いつ、どこで、どのような変化が起きているかを観察してみてください。
具体的な情報が増えるほど、自分に必要な休息、環境調整、支援を選びやすくなります。





